[鉄道]淡路島線妄想地理

[淡路島線]Ⅳ-Ⅲ 淡海路快速の運行区間|関西の路線系統の分類

淡路島線Ⅳシリーズ。
淡路島線の列車種別について取り上げてきたが、今回は淡海路快速の運行区間について考察を行っていく。

まず淡海路快速について。
淡海路快速は草津線の柘植駅 – 淡路島線の鳴門駅間を基本的な運行区間としている。

今回は、草津線に直通する理由について取り上げる。

「ぼくの色眼鏡哲学」管理人のながたるみおです。
ご訪問いただきありがとうございます。
今回は淡海路快速の運行区間について、考察していく。

なお、思考整理や画像生成の補助としてAIを活用することがあります。

運行区間の設定①|運行が必須な区間は?

草津線直通を基本運用とした理由は、京阪神方面への直通利便性草津線沿線の需要喚起、そして運用上の収まりの3点に挙げられる。

特急「おのころ」の発着駅を決定するうえで線路容量が問題となったが、これは当快速種別でも同様である。

このため、まず最低限運行すべき区間を決めたうえで、発着駅を検証していきたい。

運行必須区間はどこ

結論として、梅田地区に乗り入れることは必須となる。
当種別は追加料金を必要としない快速種別であるため、通勤・通学、出張、観光需要など、幅広い需要を担うことが求められる。
このため関西側の最大の需要が見込まれる大阪駅・梅田地区に直接乗り入れることが、淡海路快速の利便性を確保するうえで必要最低限達成すべき条件となる。

梅田地区に乗り入れることで、神戸・三宮地区への乗り入れも必然的に達成される。
淡路島線沿線から見れば、三宮が最も近い大都市であり、その需要の多さは高速バスの運行本数からも明らかである。
このため三宮地区への乗り入れは必須となる。
しかし折返し設備の持つ神戸駅では三宮地区への直接の乗り入れができず、三ノ宮駅は折返し設備を持たない。
このことから梅田まで運行範囲を広げた。

では梅田地区への乗り入れについて。
梅田地区のJR駅は、大阪駅(JR神戸線・JR京都線)と北新地駅(JR東西線)の2駅がある。
ではこれら2駅で折返し運用するのはどうか。

大阪駅は梅田地区の中心部に位置しており、需要面では最大化できる。
しかし当駅では既に多数の普通列車、優等列車が発着しており、新たな折返し列車を設定する余裕は大きくないと考えられる。

一方北新地駅について。当駅は尼崎駅よりJR東西線に入り到達できる。
北新地駅は駅名に「梅田」を冠さないものの、梅田地区の南側に位置しており、地下街を通じて梅田地区や大阪駅などへ繋がっている。このことから北新地駅への乗り入れでも、梅田地区への乗り入れは達成される。
ただし北新地駅には折返し設備が設置されていないため、実際には京橋駅以東まで直通させる必要がある。

尚、新大阪駅への乗り入れに関しては、今回は必須としなかった。
この理由として淡海路快速は特急「おのころ」と異なり、淡路島内と阪神圏を直結させることで利便性確保を求めたためである。
また別記事で取り上げているが、普通は新大阪駅に直通する列車も設定されるため、一定の利便性は確保できている。

このため次に検証すべきことは、JR京都線方面に直通するか、JR東西線方面に直通するか、である。
これを整理するために、関西圏のJR線の分類も兼ねて考えていきたい。

運行区間の設定②|関西圏のJR線の分類

JR西日本の公式ページより引用1

上記の画像は、JR西日本より引用した、関西圏の路線図である。

本稿では、普通列車・快速列車の直通を基準として、関西圏のJR線を便宜的に東海道線系統大阪環状線系統の2系統に分けて考える2
尚、この分類はあくまでJR西日本公式のものではなく、本稿においてのみ用いる、運行系統を整理するための区分である。

分類、そしてその理由は以下の展開メニューより参照されたい。

記事・淡路島線 – シート13 表
大阪環状線系統 東海道線系統
路線名 理由 路線名 理由
大阪環状線 JR京都線
ゆめ咲線
(桜島線)
大阪環状線と一体的な運用 琵琶湖線 JR京都線と一体的な運用
大和路線 大和路快速が
大阪環状線に直通
北陸線 琵琶湖線経由で
JR京都線との一体的な運用
おおさか東線 大和路線との直通列車が設定 草津線 琵琶湖線との直通列車が設定
奈良線 木津駅 – 奈良駅間で
大和路線と線路の共有
湖西線 JR京都線との直通列車が設定
和歌山線 大和路線との直通列車が設定 JR神戸線
万葉まほろば線
(桜井線)
和歌山線との直通列車が設定 JR東西線 JR神戸線と一体的な運用
関西線 大和路線との接続が
考慮されたダイヤが設定
学研都市線 JR東西線経由で
JR神戸線と一体的な運用
阪和線 紀州路快速・関空快速が
大阪環状線に直通
JR宝塚線 大阪駅 – 尼崎駅間で
JR神戸線と線路を共有するなど
一体的な運用
関西空港線 関空快速が阪和線経由で
大阪環状線に直通
福知山線 JR宝塚線との直通列車が設定
きのくに線
(紀勢線)
阪和線との直通列車が設定 山陰線 福知山線との直通列車が設定
舞鶴線 福知山駅 – 綾部駅間で
山陰線と線路を共有
嵯峨野線 山陰線との直通列車が設定
赤穂線 JR神戸線と一体的な運用
山陽線 JR神戸線と一体的な運用
播但線 JR神戸線との直通列車が設定
加古川線 両端で東海道線系統の路線
(JR神戸線・JR宝塚線)に接続
姫新線 姫路駅でJR神戸線に接続

尚、路線名称は前述のJR西日本公式の路線図に倣った。
留意が必要な路線のみ、下記に記す。

路線名称該当区間
大和路線JR難波駅 – 天王寺駅 – 加茂駅
関西線加茂駅 – 亀山駅
琵琶湖線京都駅 – 長浜駅
北陸線長浜駅 – 敦賀駅
JR宝塚線大阪駅 – 尼崎駅 – 篠山口駅
福知山線篠山口駅 – 福知山駅
JR神戸線大阪駅 – 姫路駅
山陽線姫路駅 – 上郡駅
赤穂線姫路駅 – 相生駅 – 播州赤穂駅

この分類は、普通列車や快速列車の直通運転の有無だけでなく、線路の共有、接続駅、運用上の一体性、地理的な連続性などを総合して判断したものである。
そのため、直接の直通列車が設定されていない路線についても、その路線が最終的に大阪環状線と東海道線のどちらを中心とする路線網へ接続するかを基準に分類した。
尚、あくまで厳密な路線区分や列車の運転系統を示すものではなく、関西圏のJR線を二つの大きな運行ネットワークとして便宜的に整理したものである。

ではこの系統分類は、どういった効果がみられるのであろうか。

系統分断の理由

系統分断の理由は、ダイヤ乱れの波及範囲を抑えるためだと本稿では仮定した。

直通運転は利用客の利便性を高まる一方で、特定線区で発生した遅延が直通先の路線にも波及しやすいという弱みも有している。
例えば今日のダイヤにおいてJR京都線内で輸送障害が発生した場合、JR神戸線や琵琶湖線、湖西線など直通列車が設定されている路線には、広く影響が及びやすい。一方で大阪環状線や奈良線などには全く影響がないとは言えないものの、直通列車が少ないことから影響は比較的抑えられる。

このため新たな列車を設定する場合、既存の運行系統との整合性を重視する必要がある。
淡路島線はJR神戸線との直通運転が前提となっている運用となっているため、東海道線系統に組み込むのが自然である。

では次に、直通設定が可能な路線を列挙し、以上の系統問題を踏まえながら、その妥当性を検証していく。

運行区間の設定③|今回の全検討案

では三ノ宮駅を経由し大阪駅、もしくは北新地駅を経由することを前提に、淡海路快速の関西側の発着駅として検討していく。
今回検討した案は以下の通り。

  • 案A:JR京都線(新大阪駅・高槻駅・京都駅)
  • 案B:尼崎駅→JR東西線→学研都市線(京橋駅・四条畷駅・松井山手駅・同志社前駅・木津駅・奈良駅)
  • 案C:新大阪駅→おおさか東線→大和路線(王寺駅・奈良駅)
  • 案D:新大阪駅→おおさか東線→大和路線→和歌山線・万葉まほろば線(高田駅・桜井駅)
  • 案E:京都駅→奈良線(城陽駅・奈良駅)
  • 案F:京都駅→嵯峨野線(嵯峨嵐山駅・亀岡駅・園部駅)
  • 案G:琵琶湖線(草津駅・野洲駅・米原駅・長浜駅・近江塩津駅)
  • 案H:山科駅→湖西線(堅田駅・近江舞子駅・近江今津駅・敦賀駅)
  • 案I:草津駅→草津線(貴生川駅・柘植駅)

そして今回、考えるポイントとしては、以下の3点である。

  • 東海道線系統か
  • 渡り線が設置されているか
  • ダイヤの余裕や単線区間等の物理的制約

系統による可否

淡路島線が東海道線系統であることから東海道線系統以外、つまり大阪環状線系統の路線は採択見送りとなる。

このことから案C案D案Eは見送りとなる。
案C・Dは新大阪駅からおおさか東線に入り奈良県内の各駅へ直通する案、案Eは京都駅から奈良線に入り京都府南部や奈良駅へ直通する案。
これらの案は、奈良や京都府南部など神戸から往来利便性が低い場所へ直通できることには魅力があり、妄想としてもロマンがある。
しかし系統がすべて大阪環状線系統であること、また渡り線が京都駅には設置されているものの、新大阪駅には設置されていない。つまり案C、案Dはそもそも物理的に不可能である。
このことから案C、案D、案Eは候補から外すこととした。

一方、残りの6案については、運行系統面での問題はない。
では次に他の案における渡り線の有無、単線区間の有無、折返し設備の有無を確認していく。

物理的な制約による可否

今回取り上げる物理的な制約とは渡り線の有無ダイヤの余裕単線区間の有無他を検討する。

まずは渡り線の有無について。つまり線路がつながっているかどうかである。
同じJR線で同じ駅に乗り入れていても、線路が直接つながっていない状態とは、ほかでも見られる状態である3

そして今回の検討6案の中で線路の繋がっていない検討案は、特に当てはまらない。すべての検討案にて線路がつながっているため、物理的に運行不能とは言えない。

では他の物理的条件をそれぞれの案に当てはめて検討していく。
ここでダイヤの余裕とは、既に線路容量が逼迫しており新設の列車を通す余裕があるかどうかを見る。そのために運行上のネックがないかを確認する。
また単線区間の有無について、単線区間を有することが問題ではないものの、既に多数の列車が運行されている場合、行き違いに時間を要すること、また運行障害時の回復運転が困難になることが考えられるなど、場合によっては却下理由にもなりうる。

これらのことを踏まえながらそれぞれの案を検証していく。

案A:JR京都線内折返し案

この場合の折返し駅は新大阪駅高槻駅京都駅である。

しかし新大阪駅は特急「おのころ」の記事で触れたように、折返し列車を設定するには渡り線の新設が必要となり、かつその渡り線は特急「おのころ」や「こうのとり」で活用する予定。つまり新大阪駅での新設列車の発着余裕は小さい

高槻駅は現在、普通の折返し駅として活用されている。また留置線も設置されていることから、余裕があるとは言い難いが、全くの困難とは言えないのではないと考えられる。しかし高槻駅は京阪間のベッドタウンであり、当駅を快速列車の終端とするには少し格が落ちる。高槻で止めるのであれば、京都まで行ってほしいと思うであろう4利用者の利便性が落ちてしまうため、見送りとした。

そして京都駅について。これも特急「おのころ」の記事でも紹介したように、新設の折返し列車を設定する余裕はほぼないともいえる。このことから京都駅も見送りとした。
これらのことから案Aの京都線内折返し案は見送りとした。

案B:学研都市線内折返し案

この場合の折返し駅は京橋駅四条畷駅松井山手駅同志社前駅木津駅奈良駅である。

当案を検討するうえで、問題となるのはJR東西線内の線路容量のなさである。
学研都市線に直通する場合、JR東西線を経由する必要があるが、JR東西線は日中でも上下8本/時、朝ラッシュ時は最大14本/日、列車が運行されている。
更にこの列車群はJR神戸線に直通する普通、またJR宝塚線に直通する快速、普通など、行先や種別が異なる列車が運行されている。加えてJR東西線内は待避設備がなく、全列車が各駅停車となっている。
つまり運行障害が発生した際には、より障害の影響が波及しやすい構造となっている。
要するに問題となるのは、JR東西線内の線路容量に余裕が乏しいことである

このことから案Bの学研都市線内折返し案は見送りとなった。

案F:嵯峨野線直通案

この場合の折返し駅は嵯峨嵐山駅亀岡駅園部駅である。

当駅で検討するうえで、問題となるのは京都駅構内の単線区間である。
嵯峨野線の京都駅ホームから西に一定距離、単線区間を有している。
そしてこの線路を最大7往復/時の嵯峨野線列車に加え、特急「はるか」なども同線路を経由する。つまりこれ以上の列車増発は厳しいと考えられる。
またJR京都線と嵯峨野線を直通する場合、京都駅でのスイッチバックが必要となる。
つまり当案だと京都駅自体が運行上のボトルネックとなってしまう。

このことから案Fの嵯峨野線直通案は見送りとなった。

案G:琵琶湖線直通案

この場合の折返し駅は草津駅野洲駅米原駅長浜駅近江塩津駅である。

案Gに関しては、物理的条件での問題は見当たらない。
JR京都線と線路が直結していること、JR京都線と比べると線路容量に余裕がある。

このことから案Gの琵琶湖線直通案は、保留とした。

案H:湖西線直通案

この場合の折返し駅は堅田駅近江舞子駅近江今津駅敦賀駅である。

案Hに関して、絶対却下となる理由は見当たらない。
しかし一つ、比良おろしという問題がある。これは湖西線沿線を中心に南東方面から吹き付ける強風気象のことを指す。
湖西線は全線高架路線となっていることから、この比良おろしの影響を強く受けており、当線を経由する「サンダーバード」が比良おろしの影響で米原経由となり、遅延を発生させることがしばしばみられる
このため運行障害の発生要因を有することから、当案を採択するには少し慎重にならざるを得ない。
ただ絶対無理ではないことから5、見送りとはしがたい。

このことから案Hの湖西線直通案は、一旦保留とする。

案I:草津線直通案

この場合の折返し駅は貴生川駅柘植駅である。

草津線は全線単線となっているため、この意味では運行障害拡大の要因となりうる。
しかし運行本数自体は少なく、かつ全11駅中9駅には行き違い設備が設置されていることから、そこまで大きな障害とはなりにくいと考える。
これ以外には湖西線のような気象要件なども見当たらない。

このことから案Iの草津線直通案は、保留とする。

需要と最終決定

ここで検討案として残ったのは琵琶湖線直通案湖西線直通案草津線直通案の3案である。
これらを需要や利用実態を予測しながら最終検証、決定を行っていく。

まず琵琶湖線湖西線は、今日のダイヤにおいてJR京都線・JR神戸線との多数の直通列車が設定されている。
つまり既に同一の交通圏として形成されており、通勤圏や生活圏として確立されていると考えられる。
琵琶湖線と湖西線には既に多数の京阪神直通列車が設定されており、淡海路快速を追加した場合の限界的な利便性向上は、草津線と比べて小さいと考えられる。
つまりこれらの路線に新たな京阪神圏への直通列車が設定しても、新たな需要喚起の幅は少なく、個人的にロマンを感じない。

一方草津線はほとんどの列車が草津線内完結列車となっており、京都駅まで直通する列車は朝夕のラッシュ時のみである。
しかし、草津線沿線の湖南市や甲賀市から、京都市や大津市への流動需要も小さくない。
この検証については、以下の展開メニューを参照されたい。

結論としては、琵琶湖線や湖西線と比べて草津線のほうが京阪神方面への新たな直通サービスを設定する効果が大きいと考えられるためである。

前述のように琵琶湖線と湖西線は既に京都駅はもとより、大阪方面への直通列車が多数設定されている。
一方草津線は基本的に線内完結列車であり、朝夕の一部に京都駅直通列車があるのみである。

したがって草津線の列車を京都駅や大阪駅方面へ直通させれば、既に直通サービスの充実した路線へ列車を追加するのではなく、現在は乗換えが必要となる地域に新たな直通サービスを提供できる

ただし、既存の直通列車が少ないという理由だけでは、草津線へ直通させる根拠として不十分である。
草津線沿線から草津駅より先へ移動する需要がほとんど存在しなければ、直通列車を設定しても、大きな利便性向上にはつながらないためである。

そこで、令和2年国勢調査の従業地・通学地集計を用いて、草津線沿線に位置する湖南市・甲賀市から、草津市・大津市・京都市へ通勤・通学する人数を確認する。
尚、この統計には鉄道利用者だけでなく、自動車、バスなどを利用する人も含まれている。そのため、以下の人数すべてが現在の草津線利用者というわけではない。

湖南市・甲賀市から草津市・大津市・京都市への通勤・通学流動
常住地 草津市 大津市 京都市 大津市・京都市合計
湖南市 1,577人 997人 870人 1,867人
甲賀市 1,172人 1,227人 1,083人 2,310人
合計 2,749人 2,224人 1,953人 4,177人

湖南市から草津市へ通勤・通学する人は1,577人、大津市へは997人、京都市へは870人となっている。
そして甲賀市から草津市へ通勤・通学する人は1,172人、大津市へは1,227人、京都市へは1,083人である。
したがって湖南市と甲賀市を合わせると、草津市へは2,749人、大津市へは2,224人、京都市へは1,953人となる。このうち、草津市へ向かう2,749人については、草津駅止まりの列車でも乗換えなしで移動できる
大津市と京都市へ向かう人は合計4,177人である。この4,177人は、草津線から琵琶湖線へ直通することで、草津駅での乗換えを省略できる可能性がある。確かに全員が淡海路快速を利用するわけではないものの、草津線直通によって利便性向上の対象となり得る主要な層の一つといえる。

では、この4,177人は、現在の草津線の輸送規模に対して、どの程度の人数なのであろうか。JR西日本が公表している2024年度の区間別平均通過人員は、以下のとおりである6

草津線の2024年度区間別平均通過人員
区間 営業キロ 平均通過人員 4,177人との単純比較
柘植駅―草津駅
(草津線全線)
36.7km 10,538人/日 約39.6%相当
柘植駅―貴生川駅 15.3km 2,341人/日
貴生川駅―草津駅 21.4km 16,398人/日 約25.5%相当

なお、平均通過人員とは、その区間が1日当たりどの程度の旅客を運んでいるのかを、利用距離も含めて平均化した指標である。厳密な実利用者数とは異なるが簡単に言えば、その区間の1日当たりの利用規模を示す数値である。

この数値と前述の4,177人を平均通過人員数と比較すると、全線の約4割、そして特に利用者の増える貴生川駅以北に限定しても約25%にあたる。
これは現在の草津線利用者の約25%や4割が京都や大津へ向かっているということではない。
ここで重要なのは、草津線利用者の相当数にあたる人数が、湖南市や甲賀市から大津市・京都市へ通勤・通学しているという点である。

つまり草津線沿線には、草津駅より先への直通列車によって利便性向上の対象となり得る流動が、現時点でも相応の規模で存在している
現在は自動車やバスを利用している人の中にも、草津駅での乗換えがなくなり大津・京都方面へ直接移動できるようになれば、鉄道へ利用を転換する人が現れる可能性がある。
したがって淡海路快速は、現在の草津線利用者の利便性を高めるだけでなく、既に存在する湖南市・甲賀市から大津・京都方面への流動の一部を、新たに鉄道へ取り込む役割も期待できる。

さらに、淡海路快速は京都駅で運行を終える列車ではなく、大阪・神戸方面まで直通する。
今回確認した4,177人は、大津市・京都市へ向かう通勤・通学者だけであり、大阪・神戸方面への流動は含まれていない。
そのため、草津駅での乗換えを減らし、大阪・神戸方面まで直通させることで、今回の統計には含まれていない阪神方面への移動についても、利便性の向上や新たな需要の喚起が期待できる。

琵琶湖線や湖西線では、既に京阪神方面への直通サービスが充実している。淡海路快速を直通させても、主な効果は既存列車の選択肢を増やすことにとどまる。
これに対して草津線では、草津駅より先へ向かう一定規模の流動が存在する一方、京阪神方面への直通列車は限定されている。仮に直通列車が設定されれば利便性が上がり、京都や大津、それに加え大阪との流動も刺激され、これまで以上の需要が喚起されるかもしれない。

つまり草津線には、既存の移動需要を取り込む余地と、直通化によって新たな需要を喚起する余地の双方が残されている

草津線直通案を採用する理由は、草津線沿線の需要が琵琶湖線や湖西線より大きいからではない。
同じ1本の列車を追加するのであれば、既に直通列車の多い琵琶湖線や湖西線よりも、草津駅より先への既存流動がありながら直通サービスの限定されている草津線へ乗り入れた方が、利便性の改善幅が大きいと考えられるためである。

以上から、淡海路快速は草津線への直通を基本とする。

要するに草津線に淡海路快速を直通させることで、草津線沿線と京阪都市圏との往来の利便性の向上、そして阪神圏やそれ以上の広域的な甲賀地域への観光需要の喚起を期待している。
このことが草津線発着とした理由である。

そして途中停車駅についての考察を行っていきたいが、それは次回の記事にて行う。

今回の記事内容に対して、ご意見、ご質問等あれば忌憚なくコメントをいただけると幸いです。

また次回もお待ちしております。お疲れ様でした。

  1. 西日本旅客鉄道「JRおでかけネット 路線図」< https://x.gd/P7a2J >(2026/1/14参照) ↩︎
  2. 類似の分類としてWikipediaの「アーバンネットワーク」のページでは、前者を「本線系統」、後者を「南アーバン」とするといったような表記もあるものの、信頼できるソースを見つけられなかったため、あくまで参考程度とする(参照元:Wikipedia「アーバンネットワーク」< https://x.gd/mpR4p >(2026/5/10参照))。 ↩︎
  3. 東京駅の中央線と東海道線・東北本線・山手線など。
    また東海道新幹線と東北新幹線も東京駅に乗り入れているにもかかわらず、線路はつながっていない。 ↩︎
  4. イメージとしては、高槻止まりは御堂筋線の中津行きや横浜線の東神奈川止まりのようなもの。 ↩︎
  5. 絶対に運行不可能であるのであれば、「サンダーバード」や新快速の湖西線 – JR京都線間直通列車が設定されることはないと考えられる。つまり全列車、湖西線内完結とされるのが妥当。
    このことから一旦、運行可能だと判断する。 ↩︎
  6. 西日本旅客鉄道(2025)「データで見るJR西日本2025」58頁 < https://www.westjr.co.jp/company/info/issue/data/ >(2026/7/25参照) ↩︎

Comments

タイトルとURLをコピーしました