関西の人間にとってちょっと遠目、でも日帰りで行ける、非日常を体感できる場所として人気のある淡路島。
世間からの注目も熱く、これまで観光需要に着目されがちであった状況が、近年では本社機能の一部を淡路島に移転する企業もあるなど、ビジネス需要も高まりつつある。
しかし淡路島には現状、一つ問題がある。
アクセス手段に少し難がありすぎやしないか??
今回は淡路島は関西でも有数の観光地であるにも関わらず、そのアクセスの課題について取り上げる。
本稿では、淡路島線そのもののルートや駅の話にはまだ入らない。
まずは関西における淡路島の立ち位置を整理し、なぜ「鉄道を妄想したくなるのか」という前提を確認する。

「ぼくの色眼鏡哲学」管理人のながたるみおです。ご訪問いただきありがとうございます。
この記事では、妄想企画・淡路島線について、淡路島の魅力について取り上げます。
なお、思考整理や画像生成の補助としてAIを活用することがあります
関西人の考える淡路島の魅力

淡路島とはどういう場所か、なんとなくイメージが付くであろうか。
私は関西に居た際には何度も訪れており、関西を離れてからもはるばる向かったことが何度もある。
またいつか、私の思う淡路島の魅力をただただ語り尽くすだけのコンテンツを作りたいと考えているほど、淡路島は本当に好きな場所だ。
個人的にはオニオンバーガーのためだけに淡路島に行くほど、淡路島の玉葱は特に美味しい。上述の画像は、道の駅うずしおという大鳴門橋そばにある、オニオンバーガーの美味しい場所。
また西海岸には西日を見ながら楽しめるグランピング施設やおしゃれなカフェも多く、キャンプ場も多いように、自然豊かな場所である。
このように淡路島には様々な観光スポットがあり、関西人にとっては、免許取り立ての大学生から家族連れまで、多くの人が満足しやすい場所となっている。
気になった方は、下の観光協会の公式サイトもぜひ覗いてみてほしい。
淡路島の地理的特性

淡路島の特徴は、京阪神から見て遠すぎず、近すぎずの距離にあることだ。
この絶妙な距離感こそが、日帰り観光地としての魅力を支えている。
淡路島は瀬戸内海の島であり、北から淡路市、洲本市、南あわじ市の3市で構成される島である。
以上の画像におけるそれぞれの赤線は、洲本市役所、名古屋の栄パルコ、東京駅を中心に半径68kmの円を記した。
この数字は大阪のところを見ていただければわかるが、だいたい洲本市役所から大阪市が60〜70km前後の直線距離を有しているためである。
淡路島と京阪神圏の距離感を他地域に当てはめて考えると、
名古屋起点でなら、津、彦根、郡上、中津川、新城が当てはまる?
東京起点でなら、小田原、大月、秩父、小山、鴨川かな?
つまり淡路島って、京阪神から見れば、わざわざ行く価値はあるけど、無理なく日帰りもできるという、かなり絶妙な距離にある。
だからこそ観光地として強い。
しかしその一方で、この距離感に見合ったアクセス手段が整っているかと言えば、そうではない。
淡路島の抱える交通事情

淡路島は車でのアクセスが明石海峡大橋に偏っており、特に連休期は渋滞の影響を受けやすい。
しかも本州側の神戸・大阪方面にも慢性的な混雑区間があり、往来全体が不安定になりやすい。
淡路島は島である以上、陸続きの都市と比べて交通手段の選択肢が限られる。
現状、本州との往来は明石海峡大橋か船に依存している。
船は輸送力こそあるが、時間や定時性に課題がある。
一方、道路は手軽だが、天候や渋滞の影響を強く受ける。
そのため淡路島のアクセスは、利便性が高いようでいて実はかなり脆い。

上述の画像を見る限り、淡路島から本州にかけて渋滞が伸びており、更に大阪へ抜ける阪神高速、中国道がともに渋滞となっている。
そしてこの状態は連休期間ではしばしばみられるものとなっている。
このように、淡路島へ向かう交通手段は天候や周囲の交通状況に非常に影響を受けやすく、脆い状態にあり、これは、淡路島への交通網の弱さを示している。
ではこの交通課題を打破する方法は何が考えられるのか。
淡路島の交通課題の解決策

本州側では徐々に改善策が進んでいる。
しかし明石海峡大橋区間そのものには、なお具体的な抜本策が乏しい。
明石海峡大橋に近い本州側の解決策については、多数議論がされている。
第一に中国道の渋滞であるが、これは淡路島から関西圏や以東に向かう車に加え、関西以西から関西圏や以東に向かう車が集中して発生している。
この箇所に関しては、先程の画像では上部で見にくいが神戸JCTより北に伸びる新名神が開通したことにより、大幅に改善したとされる。具体的には渋滞発生回数が半減したとされる2。
第二に阪神高速の渋滞に関してであるが、これは淡路島や神戸以西の地域から神戸中心部や大阪市への最短経路となっていることから、交通が集中してしまっている。
実際、当該区間である阪神高速3号神戸線は、全国の都市高速内で渋滞に依る損失時間の合計がワースト1,2位にランクインするように3、日常的に渋滞が頻発していると言える。これに対し都市計画が決定した程度とは言え、阪神高速5号湾岸線の延伸計画が考えられている4。
このように本州側では、中国道・阪神高速ともに一定の改善策が進められている。
しかしそれはあくまで「本州側の混雑緩和」であり、明石海峡大橋区間そのものの代替ルートを生むものではない。
実際、明石海峡大橋区間に関しては、上記2つのような具体的な改善案がないのが実情である。
そもそも当該区間の混雑は、連休期間に頻発することから、レジャー目的などの非日常利用が集中することで発生していると考えている。
この理由に関しては、以下の展開メニューを参照されたいが、広域交通が基礎需要となっているところに、非日常利用が重なることでキャパオーバーになってしまうことを考察の結論として挙げた。
本四高速HPのデータを分析した結果5、全通行台数に対して大型車の占める割合と日による交通量の差には、ルートごとに一定の相関関係があると結論づけた。
ここで基礎需要とは、年間を通して需要量に最も差が出ない、安定した需要を生み出すものだと定義づけている。
まずは淡路島ルートについて。
淡路島ルートに関しては、全通行台数に対して大型車の占める割合が多い場合、日による交通量の差は小さくなる傾向があると結論づけた。
この要因として、当記事では、淡路島ルートは輸送需要が基礎需要を構成している、そして日による差は観光需要などのシーズン需要に起因すると結論づけている。
理由として、淡路島の地理的特性による2点の要因、関西 – 四国間の最短ルートを形成していること、そして淡路島の生活圏が島内で完結していることの、2点があると考えている。
1点目の淡路島ルートが最短ルートを形成している点について。以下の表を見てほしい。
| 大阪 | 名古屋 | 東京 | |||||||
| 淡路島 経由 | 岡山 経由 | 増加 時間 | 淡路島 経由 | 岡山 経由 | 増加 時間 | 淡路島 経由 | 岡山 経由 | 増加 時間 | |
| 高松 | 2:32 | 3:11 | +0:39 | 3:43 | 4:38 | +0:55 | 7:18 | 7:47 | +0:29 |
| 徳島 | 2:06 | 3:57 | +1:51 | 4:09 | 6:24 | +1:15 | 6:52 | 8:33 | +1:01 |
| 松山 | 4:10 | 4:18 | +0:08 | 5:50 | 5:45 | △0:05 | 8:59 | 8:56 | △0:03 |
| 高知 | 3:57 | 4:05 | +0:08 | 6:37 | 6:32 | △0:05 | 8:46 | 8:41 | △0:05 |
※示した時間は全て、各都市の代表インターチェンジ間の通常時間を示している。
※各都市の代表インターチェンジは以下の通り定義し、計算に用いた。
・大阪 梅田出入口(阪神高速11号池田線・大阪駅最寄り出入口)
・名古屋 白川出入口(名古屋高速2号東山線・栄地域西方面最寄り出入口)
・東京 霞が関出入口(首都高速C1都心環状線・東京駅東名方面最寄り出入口)
・高松 高松中央IC(E11 高松自動車道)
・徳島 徳島IC(E32 徳島自動車道)
・松山 松山IC(E11 松山自動車道)
・高知 高知IC(E56 高知自動車道)
これは大阪、名古屋、東京から四国4都市へ車で向かう場合の所要時間を、淡路島経由、岡山(=瀬戸大橋)経由で示し、その差を示した表である。
松山、高知に行く場合は、淡路島経由でも岡山経由でも誤差の範囲だと言える。
一方で特に徳島に向かう場合、淡路島経由だと直線的に移動できる一方、岡山経由だと大きく遠回りになるので1時間以上余分に時間がかかるということがわかる。
更に加えて、松山、高知方面でも、所要時間にそこまで差がなくとも走行距離が大きく変わることもあり7、淡路島経由を利用する人も多いのではないかと考えられる。
以上のことを踏まえると、少なくとも高松、徳島へ向かう場合には、淡路島ルートが最短経路、かつ合理的な選択肢となっており、輸送需要などは特別な事情がない限りこのルートを選択することが当然視されると考えられる。
そして2点目の、淡路島島民の生活圏について。
少し古い資料にはなるが、国交省の資料8によれば、淡路島は一部本州の阪神地域との結びつきが残っている一方、洲本市を中心とした広域生活圏が形成されていると言える。
このため、後述の瀬戸大橋ルートに比べて日常の通勤・通学で本州側と強固に結びつく度合いは相対的に小さい。
よって、明石海峡大橋を渡る小型車(自家用車)の相当部分は生活目的以外(観光・行楽等)による可能性が高いと考え、基礎需要を占めるのは大型車輸送だと定義した。
以上2点より基礎需要を担っているのは大型車輸送であり、そこに小型車、つまりレジャー目的など非日常需要が重なることで、通常以上の走行台数が記録される。
そのため、小型車需要の多くなる連休期間などでは、渋滞が頻発するのだと考える。
一方瀬戸大橋ルートは、大型車の割合が大きくなるほど、日による交通量の差は小さくなる傾向があると結論づけた。
これは瀬戸大橋を挟んで岡山 – 高松圏は、一体した生活圏が形成されている。
勿論、同一の生活圏を形成していることが、住民にとって瀬戸大橋を渡る手段の大半が自家用車になるとは限らないが、淡路島ルートに比べるとその結びつきが強いことはイメージに容易い。
そのため淡路島ルートでは大型車が担っていた基礎需要は小型車、つまり生活需要が担っており、大型車輸送は二次需要をになっていると考える。
ここでそれぞれの需要の日々の変化幅についてであるが、今回の問題提起で主に3つの需要を取り上げた。
それは、生活需要、非日常需要、そして大型車輸送の3つだ。
これらを改めて定義付けしておくと、生活需要は通勤、通学、通院、その他生活を送る上で欠かせない需要のことだ。生活需要は、主に同一の都市圏や経済圏、広域生活圏を形成している都市同士で発生する。
そして非日常需要。これは生活需要とは反対に、余暇期間に旅行に行ったりする際に発生する需要のことを指す。こちらは逆に、あらゆる場所で起こりうる需要だ。
最後に大型車輸送だが、こちらは少し注意が必要だ。というのも先述の仮説では、貨物輸送と旅客輸送が合算して計算されているからだ。というのも参照元の本四高速のデータではこれらの分類がなく、やむを得ず同一のものとして仮説を立てている。
だが旅客輸送は生活需要と非日常需要を共に含んでおり、貨物輸送に関しても生活物資の輸送も工業製品の輸送など、共に含んでいると考えられる。
つまりこれら3つの需要の変化幅でいうと、生活需要>大型車輸送>非日常需要の順で安定していると考えられる9。
すなわち基礎需要を担うのは、そのルートで一番需要が安定している需要であり、淡路島ルートであれば大型車輸送、瀬戸大橋ルートで言えば生活需要となる。
ここでしまなみ海道ルートについてであるが、こちらは淡路島ルート同様に大型車の割合が増えると日による交通量の差は小さくなる傾向があるように見られた。
この理由についてはおそらく淡路島ルートと同様の理由で、広島 – 愛媛間の最短ルートを形成しており、かつ岡山 – 香川ほどの強力な同一生活圏形成力はないと考えられるため、大型車輸送が基礎需要を担っているのではないかと考える。 現に本通(広島の中心街)から銀天街(松山の中心街)まで行く場合、フェリー経由の方が早くて距離も短い。
| 本通駅 | 広島駅 | |||||
| 所要時間 | 距離 | 料金 | 所要時間 | 距離 | 料金 | |
| フェリー | 2:56 | 81.6km | ¥9,490 | 3:12 | 81.7km | ¥9,490 |
| しまなみ海道 | 3:07 | 191km | ¥5,750 +ガソリン代 | 3:00 | 186km | ¥5,390 +ガソリン代 |
また尾道/福山 – 愛媛間の結びつきも、広島 – 愛媛よりは地理的優位性もあり強固かもしれないが、そもそも広島と比べると経済基盤が相対的に脆弱ということもある。
それに加えて、しまなみ海道(西瀬戸自動車道)の全長は59.4kmもあり、瀬戸大橋ルート(瀬戸中央自動車道)の全長37.3kmと比べると1.5倍ほどの差があり、淡路島ルートで考えると、三宮にほど近い阪神高速京橋出入り口から淡路島中央SICまでで58.1kmと、その距離の長さが際立って見え、ここからも、しまなみ海道を挟んだ生活圏を形成することの難しさが垣間見える。
以上のことから、淡路島ルートは安定した大型車輸送需要に短期的な非日常需要の増加が重なって、渋滞が引き起こされると考えられる。
以上のことを踏まえれば、淡路島の問題は魅力が足りないことではない。
需要のある場所に対して、アクセス手段があまりに偏っていることにある。
明石海峡大橋区間の混雑は、非日常需要を明石海峡大橋から逃すことで、混雑誘発を見込めるのではないか。
そのために新たな道路橋や道路トンネルをもう1本、明石海峡に通す?それはお金がかかりすぎる?
せっかくなら昨今盛り上がっている四国新幹線に乗っかる形で、淡路島に鉄道を通してはいかがですか??
というのも四国新幹線は淡路島経由のルートが構想されているとかなんとか。
淡路島線は在来線規格ではあるが、淡路島線の意義、またなぜ新幹線規格しなかったのか、淡路島と関西、更に四国にもたらす影響について、今後取り上げていく。
どうぞ最後までお付き合いいただければ幸いです。
では次回より、早速淡路島線の概要について、取り上げていく。
今回の記事内容に対して、ご意見、ご質問等あれば忌憚なくコメントをいただけると幸いです。
また次回もお待ちしております。
- 公益財団法人 日本道路交通情報センター < https://www.jartic.or.jp/ >(2025/11/02 利用) ↩︎
- NEXCO西日本(2023)「E1A新名神高速道路(高槻JCT・IC~神戸JCT間)が開通して5年を迎えます ― 並行する中国道の渋滞が減少し、経済効果が発現 ―」< https://corp.w-nexco.co.jp/corporate/release/kansai/r5/0317a/ >(2026/4/4参照) ↩︎
- 国土交通省(2020)「平成31年・令和元年 年間の渋滞ランキング(令和2年6月8日)」6頁 ↩︎
- 阪神高速「大阪湾岸道路西伸部(六甲アイランド北~駒栄)」 < https://www.hanshin-exp.co.jp/company/torikumi/useful/wanganseishinbu/ >(2025/11/03 閲覧) ↩︎
- 本四高速「交通量」< https://www.jb-honshi.co.jp/corp_index/company/data/traffic.html >と「毎月の交通量」< https://www.jb-honshi.co.jp/corp_index/company/data/traffic-result.html >(ともに2025/11/03 閲覧)より独自に分析、計算。なおデータが揃っているのが、2022年、2023年、2024年の3か年であったため、こちらのデータ、及び月毎のデータを用いて分析を行なった。 ↩︎
- NEXCO西日本 < https://search.w-nexco.co.jp/route.php >(2025/11/02 利用) ↩︎
- 例えば松山方面の場合、名神高速高槻JCT以東のルートは、名神西宮〜阪神高速〜神戸淡路鳴門道〜川之江JCTか、新名神/山陽道〜瀬戸中央道〜川之江JCTの2通りがあり、差が30km程度異なる。 ↩︎
- 国土交通省(2009)「近畿圏の広域連携に関する調査報告書」 ↩︎
- 交通量データより筆者推定。 ↩︎



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